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 解説

・・・・・気功点穴というのは、どんな治療法ですか?

 指先をツボに当てて一定の手技を用いることによる治療法です。指圧のように力を使うことはなく、非常に柔らかな軽いタッチが特徴です。手指で経穴を揉む・圧す・点打する。それが点穴の名の由来です。
薬物や道具は一切使わないので、ハリはちょっと怖くてどうも・・という方でも安心です。

 点穴の原理・理論は鍼灸と気功の理論と方法を結び付けて生み出されました。ツボ・経絡・五臓の働きなどと深く関わっています。基本的には鍼灸と同様の治療効果が期待され、カゼや肩こりから脳障害などの難病まで幅広い臨床例があります。
 
 ご家庭で気軽に行える、安全・無痛で応用範囲の広いこの療法は、単に治療の面だけではなく、体と心の健康維持と増進にも役立てると思います。

・・・・・源流は中国拳法

 日本では点穴という言葉はなじみの薄いものですが、中国ではよく知られています。点穴の源流は中国拳法なのです。中国拳法には、外側からの肉体の力による打撃で相手を倒す「外家拳」と、ツボと気功を利用して肉体を内部から破壊する「内家拳」の2種類に大別されます。内家拳を医療に応用したものが点穴です。
 拳法と同様に、点穴療法は中国に多数の流派が存在し、古くから門外不出の秘伝として伝えられてきました。その中で、ここで紹介するのは中国の馬秀棠氏が1956年に創始した方法で、拳法を起源とするものではありませんが、分かりやすく使い方も簡単で、それでいて効果があります。
 その後40数年を経て、日本でも訳本が出版されるようになり、体系的に学ぶのが容易になりました。

 参考文献: .『点穴療法』、中国陜西省科学技術出版社
    .     『馬氏気功点穴療法』(日本語版)、エンタプライズ(株)

・・・・・誰にでもできるような簡単なものですか? それで効くんですか?

 力は必要ありませんし、指を当てて手を動かすだけなので、テレビを観ながらでも気軽にできます。
創始者の馬氏は、故・大平首相が1979年に訪中した際に極度の不眠と疲労を訴えたとき、点穴で治療したそうです。治療例としては、体のコリや痛みといったよくあるものから、半身不随や高血圧などの内科疾患、各種神経障害、脳性麻痺や自閉症などまであり、その威力は鍼灸に十分匹敵します。

 あえて難しい点をあげるとすれば、ツボの選び方です。この病にはこのツボ、という単純なものでもなくて、正確な効く治療を行おうとすれば、患者の体のバランスをきちんと診断して、その崩れに応じた調整が必要だからです。世間に本やマスコミで紹介されている「○○に効くツボ」、それをやってみたけど効いた気がしないよ、という場合、効かなかった理由もちゃんとあるのです。

 首の寝違えを足のツボで治すこともありますし、腰痛を頭のツボで治すこともありますが、いわゆる1つ1つの病に対応した特効穴も、全く効かないというわけでもないのですから、初心者はまずそこから入っていけばいいと思います。

 私自身も、実際に治療の現場で使っています。全身がガチガチに張っていたり、とにかくダルくてぐったりというような内科的な体のバランスの崩れが原因の場合には、マッサージや指圧を行っても硬さがなかなか取れなかったりすぐに症状が元に戻ったりしますが、手順の途中で指で少し点穴を加えるだけで一気に体の緊張が取れていき、それから改めてマッサージを行えば、こちらの力の負担も少なく、症状の戻らない良い状態で仕上げることができます。
 点穴単独で治療することにこだわらなくても、他の療法と併用することで、より一層の利用価値が得られると思います。一般の方以外にも、プロの施術者にもおすすめいたします。


単に不快症状だけを取るのではなく、病の元となっている体の機能低下やバランスの崩れを直すことで全体を治そうという方法を、鍼灸では「本治法」といいます。
本治法では、同じ人でもその時の状態によって使うツボは変わります。その理論は本格的にやろうとすれば奥が深く難しいものですが、その一端は、当HPの「簡易診断法」や「五臓のはなし」でもご紹介させていただいてます。
 

 実際の施術方法

点穴療法の手技にもさまざまありますが、ここでは基本的な3つの手法を紹介いたします。
これらのうち1つだけを使うというのではなく、実際には病の状態に応じて使い分けることが必要になってきますが、初心者は平揉法だけでもいいのではないかと思います。

平揉法 〜 「平にして之を揉む」
平揉法の、平は水平のまま、揉は押さえたり撫でたりすることです。もむという字を使っていても、グリグリと力を入れてはいけません。
図のように中指を垂直にツボに当てた状態で、指先は静かに固定したまま(指が滑ってコスることになると、効果も目的も全く違ってしまいます)、手首がくるくると回転するように肘を動かします。
基本的には図のように、他の指は中指に添える形で浮かせますが、私は人差し指と中指をセットで立てて回転させることもあります。

 このときの注意は、手首から指先にかけて、なるべく力を抜くことです。見た目は指をぐりぐり押し付けて回しているように見えても、実際には手首回りの重さの分くらいしか圧はかかっていません。体格が大きく急性の患者には少し重く、逆の場合にはより力を抜くなど、場合によって加減することもあります。

 1回転は大体、脈拍の1拍と同じくらいの間隔で(1分間に70〜80回)。それを病と患者の状態により1ヶ所につき50-100回転です。回転する円の直径は約3mmとされていますが、2,3cmくらいの半径で大胆に回転させても効果はありますので気楽にやってください。
 右回転と左回転で意味がそれぞれあるのですが(治療家向けの言葉で言えば補寫に対応)、ここでは細かいことは省きます。男女の性別によって回転方向は逆になります。初心者の方は、同じ回転数を(例えば50回転ずつ)両方やっておけばいいでしょう。


圧放法 〜 「下に向かって押さえ、上に向かって放す」

 中指をツボに当て、そのまま中指の先でツボの深部に向かって垂直に圧します。圧したらすぐ放し、また圧す、の繰り返しです。その際に平揉法と同様、指先は皮膚から離れてはいけません。
 回数は平揉法と同じ程度です。圧すのと放すのとは常に一定の速度でリズミカルに行います。中指の先端で行うわけですが、爪の部分でもダメですし指の腹でもダメです。
 漢方的に言えば、深く圧すと体の営分(内外諸器官の栄養)に作用し、浅く圧すと体の衛分(外邪からの防衛
)に作用します。圧放は気血営衛を調整する効果があるのです。
 注意すべきことは、深い浅いといっても体の各部によって押せる深さが違いますので、場所に応じた度合いでということです。また、押すといっても、指圧ではありませんので痛くなるほどの強い圧はいけません。逆効果だったり、肌肉組織を傷めてしまいます。
強く押せば効果が上がるというものではありませんので、深く圧すといってもやりすぎないように。

皮膚点打法

 中指の先端を立て、皮膚から3〜6センチ離れた辺りからツボの中心に向かってリズミカルに繰り返し打点します。これも力は入れずに、ツボにかかる点打の力は皮膚レベルにとどめます。
 標準回数は100回で、速さは1分間に100回以上(脈拍の2倍近く)です。これを行うとツポの外層組織に刺激が与えられ、局部の毛細血管が拡張します。これは熱を発生させ、灸の効果に似ています。虚弱症に有効で小児麻痺には不可欠な手法です。水分吸収の促進作用もあり、下痢に効果的ですが、逆に加減によっては便秘を発生させやすくもなります。

 実際の手技は以上の他にもいろいろあります。
 しかし通常は、平揉法だけで十分ですので、まずは気楽に、
 他のツボ療法と同じような感覚で試してみてください。

 ◎ 初心者が試すのに適したツボ

  足三里: 足の疲れ、元気がないとき
  陽陵泉: 筋肉痛、体を使いすぎたとき
 

 注意点

◎ 落ち着いて慎重に

 施術時の姿勢から力具合まで、冷静に細心の注意を払って臨んで下さい。それほど危険性のある治療方法ではありませんが、体調をコントロールする方法である以上、強い刺激が逆効果になることもありえます。爪は切っておいて手を洗っておくなども。


◎ 施術の際の注意

 鍼灸などと同じことですが、患者が緊張していたり疲労していたりするときは、しばらく休息させてから治療に入ります。精神不安定のときはよほど腕に自信がない限りは避けた方がいいでしょう。
あとは、空腹時や過食時、食事の直前直後は避けること。飲酒も同様です。入浴については、少し(30分以上)時間を置けば問題ないと思います。

◎ 強く押して肌肉を傷つけないように

 指圧やマッサージなどでよくあることなのですが、筋肉に長年に渡って強い圧をかけたり揉んだりしていますと、内部の筋の細胞が傷ついて、それを筋細胞ではない繊維質で埋め合わせるために(ケガの傷跡と同じです)、だんだん筋肉自体が硬くなっていきます。長年通っている人がだんだん強い刺激でなくては満足できなくなっていくのはこのためです。気功点穴は治療が目的なので必要のない圧はかけません。

◎ ツボは効くのではなく、効かせるもの

 「○○に効くツボ」という表現はよく見かけます。しかし、そこを押してみたけど、何も起こらない。ツボなんてインチキだ。そう考えてしまうのも、もっともです。しかし、その症状が出た原因はいろいろ考えられます。頭痛、肩痛、腰痛、という代表的な症状にはそれだけ数多くの原因がありうるのです。それによって適応するツボは異なるのが当り前なわけですから、道具の使い分けが必要なのです。
 何でもそれで済む、という万能な道具はありません。それから、強く押せばそれだけ効果が上がる、そう思い込んでいる人が多いのも事実ですが、上にも書いた通り、ツボは単純なボタンではありません。

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